自作キーボードという沼への誘い(できること編)

IT関係

前記事では、僕が如何にして自作キーボードの魅力に取り憑かれたとかをタラタラと書きました。

つづいて本記事では、

  • 「そもそも自作キーボードって何ができるの?」
  • 「既製のキーボードとの違いは何?」

という点に着目して語っていきます。

自作キーボードの特徴を知っていただければ、自作キーボード達がかゆいところに手が届く良いツールであることを理解していただけるのではないかと思っています。

多種多彩なキットから選べる

とりあえず、遊舎工房さんという秋葉原にある自作キーボード専門の通販サイトを見てほしいです。

とにかくたくさんの種類があります。

  • 左右分割型のキーボード
  • キー数がとても少ないキーボード
  • 親指で押せるキーが多数配置されたキーボード
  • エルゴノミクスに基づいた手への負担が少ないキーボード

などなどコンセプトもデザインも様々なので見てるだけで面白いです。
既製品との違いはこの時点でも大きいかな、と考えています。

自作キーボードの製品を見ていると、〇〇があった良いなとか、
△△に□□がくっついてたら良いなというような、
特徴の掛け合わせでさらなる使いやすさを追求している、
すなわち攻めた商品が多いというのが僕の印象です。

さて、これらの中から自分のニーズや興味に合致するものを探していきます。

僕が2台目を組んだときの場合は、

  • 左右分割型で腕の負担を減らせる
  • 格子配列(キーの縦列がきっちり揃っているタイプのもの)である
  • コンパクトなキーボード

がいいなあというニーズがあったので、Ergo42 Towelというキットを選択しました。
非常に使いやすい、良いキーボードです。

もちろん変わり種のキーボード以外にも、一般的なUS配列キーボードや、
JIS配列に寄せたキーボードも存在しますので、
できるだけ既存のキーボードとのギャップを感じたくない、という方にも
選択肢は充分にあると思います。

キットの値段はピンからキリまでというところですが、
一般的な文字入力をできるサイズになってくると1万円は超えてきます。
(実際はキースイッチやキーキャップは別売りなのでキー数が多いほどコストがかかります)

流石に安い買い物ではありませんが、一度組むと長く使えるものですので
まとまったお金ができたときにチャレンジすると
幸せになれるのではないかと思ったりします。

費用を抑えたい場合は、片手用のマクロパッドか、
左右分割型で片手分だけ買えるものも存在するので、
そういうものから始めるといいのかもしれません。

かくいう僕もキー8つのマクロパッドから始めましたから大丈夫!

キー配置が自由に設定できる

キー配置の自由度の高さは既製品と差別化するのにもっとも強力な特徴のひとつです。

自分自身がよく使うキーや、不要なキーを調整することによって
疲れにくくしたり、タイピングのストレスを軽減したりできます。

この点は自作キーボードを使うにあたっての明確なメリットだと考えています。

さて、自作キーボードの多くは「QMK Firmware」と呼ばれる
オープンソースの制御ソフトを「ProMicro」という
マイコンで動かして制御しています。

このQMK Firmwareの導入も自分自身でやらなければならないのですが、
このとき、キットごとに用意されているキー配置を定義したファイル(C言語で書かれています)を
コンパイル(マイコンで実行可能な状態に書き換えること)します。

つまり、定義ファイルを自分で書き換えてしまえば、
まさしく思い通りのキー配置のキーボードが作れちゃうのです!

例えば、

  • WindowsキーやCapsLockキーが邪魔!
  • 親指の位置にEnterキーがほしい!
  • Ctrl+Zをひとつのキーに割り当てたい!

といったかゆいところに手を届かせるようなカスタマイズはお手の物です。

もちろん、市販のゲーミングキーボードなんかではキー割り当ての変更や
マクロ機能やキーの組合せを登録する機能を搭載しているものはあります。

ですが、自作キーボードでは物理的なキー配置が多種多様であるため、
より自分の好みや意図に合った環境を作ることができるわけです。

文字だけだとイメージがつかないと思いますので、
僕のキーボードを例としてご紹介します。

メイン機のひとつであるErgo42 Towel

このキーボードは僕が組み立てた、Ergo42 Towelという
左右分割型の4行7列×2=56キーの自作キーボードです。
(60%キーボードと呼ばれている種類です)

文字が印字されているキーは見たまんまなんですが、
無刻印のキーは自分が使いやすいように設定しています。

この下の表で、特にカスタマイズしたキーと気にした点をまとめました。

左手の黄色のキーかな英数切り替え
US配列だと「Alt+`」とキーを2つ押さないといけなくて面倒なので
ひとつにまとめました。
左手下段の
赤色のキー
(左側)
SYMBOLキー
記号を入力するときのFnキーと思っていただければ大丈夫です。
数字キーの行がないので、QWERTYUIOPキーそれぞれにShift+1~0キーの記号を
割り当てています。
左手の水色のキーDeleteキー
親指を左にスライドすると届く位置に配置しました。
使用頻度はそこまで高くない印象なのでここでいいかなと思っています。
左手の緑色のキーSpaceキー
これは一般的なキーボードと大差ない位置かと思います。
親指が一番自然に来る位置に配置しているので、連打しても安心です。
左手下段の
赤色のキー
(右側)
METAキー
こちらもFnキーの親戚です。
左手側にF1~F12キー、右側にテンキーを割り当てています。
数字を打つときはキー組合せがいりますが、「NM,→123」というように
電卓と同じ感覚で数字が打てるので指の移動が少なくて快適です。
右手の紫色のキーF2キー
Excelを触る方には共感してもらえると思いますが、
セルを入力モードに切り替えるために設定しました。
いちいちマウスに持ち替えなくてよいのでストレスが軽減されてます。
右手の緑色のキーEnterキー
親指Enterという言葉を聞いたことある気がします。
なぜEnterという重要なキーをわざわざ小指のちょっと先の位置に置くのか・・・
もっと近くに来いよ!という要望を実現させました。楽です。
右手の水色のキーBackspaceキー
Backspaceキーはよく使うのと、キーボードの右側に配置されているのが一般的なので
そのイメージと合わせて右手親指の隣に配置しました。
両手真ん中の黒いキー左手:( 右手:)
丸カッコを使うのになぜShiftキーを押さなければならないのか?という
素朴な疑問を解決させるために配置しました。
人差し指をちょこっと動かせば届くのでホームポジションがくずれません。
特にカスタマイズしたキー配置とその配置のメリット

つらつらと書きましたが、基本的に「ホームポジションを崩さない」ということと、
「指の移動を少なくする」という点に気をつけてキー配置を決めました。

こんなキーボードは量販店で見たことはないかと思います。
これだけでも自作キーボードを手にする充分な理由になると僕は考えています。

しかしこんなキー配置で覚えちゃったら、普通のキーボードに戻れないんじゃ・・・?
なんて心配になるかもしれませんが、

通常のUS配列キーの拡張版という認識でキー配置を作ったので、
僕自身は他のキーボードに戻っても、特に戸惑うことはないです。

ソレはソレといった感じで、キーボードが変われば頭の中も切り替わるような感覚です。
基本の構成を大きく崩さなければ、違和感は自然と軽減されていきます。

好みのキースイッチが選べる

自作キーボードの多くはメカニカルスイッチ(キースイッチと呼ぶ事が多いです)という
各キーが独立したスイッチ部品で構成する形式をとっています。

このキースイッチはいろんなメーカーが作っています。
いくつかの種類で大別されますが、以下くらいを知ってれば選ぶのに困らないかと思います。
(僕もそんなにたくさん触ってるわけではないのでメジャーどころしかわかりません・・・)

 軸の名前 写真特   徴
赤軸リニア軸(キーを押し込むときにストンとそこまでいくタイプ)です。
キースイッチの中では標準的というか、このタイプを基準にしている印象です。
黒軸リニア軸ですが、赤軸より重い感触です。
強く打ち込むというよりかは、柔らかめのタッチでスイッチの反発を
利用してタイピングするのがいいみたいです。
茶軸タクタイル軸(キーを押し込む途中にコクっと引っかかりがあるタイプ)です。
どれかというとメンブレンキーボードに近い感触でしょうか。
リニア軸に比べて、キー入力されたのがわかりやすいです。
青軸クリッキー軸(キーを押し込む途中でカチっと音が出るタイプ)です。
入力したときにはっきりと感触と音があるので、
一番打ってる感が出るスイッチだと思います。
銀軸基本的には赤軸と同じような特徴なのですが、
赤軸より浅いところで入力される点が異なります。
ゲーム用途など、高速タイピングしたい場合に真価を発揮すると思われます。
代表的なキースイッチの特徴

あと、キースイッチの軸の種類以外にも、静音化されたスイッチや、
高さが低いロープロファイルというものが存在します。

上記のスイッチの種類は代表的なものというだけで、検索するととてもたくさんの種類があり
軸色や重さや感触が異なるスイッチが販売されています。

自分にはどのスイッチが合うんだろう?と思われるでしょうが、
ヨドバシカメラとかビックカメラのような大きめの家電量販店なら、
メカニカルキーボードがいくつも置いてあるので
そこで試すのが一番楽だと思います。

僕は正直どれがいいかわかんなかったんで興味の赴くままキーボードを組んで試してみましたが、
下のようなキースイッチテスターなんてものを用意しても良いかも知れません。
(一応Amazonでもテスターは買えますがちょっと高いです)

キースイッチを比べられるようにしたテスター

僕はキースイッチが複数種類入ったセットを購入してぽちぽち触って比べていました。
好みのキースイッチや、珍しいキースイッチを探すという楽しみもあったりするのです。

好みのキーキャップが選べる

キースイッチと対をなすように、キースイッチにかぶせるキーキャップも
自分の好みのものを選ぶ事ができます。
(一応、使用するキースイッチによっては使えないキーキャップもあります)

キーボードの外観の大半を占めるものなので、組む人の好みがハッキリと現れる部品ですね。

下の写真は僕が手持ちしているキーキャップの一部ですが、
これだけでも色や質感、形だったりと特徴が分かれています。

いろんなキーキャップがあります!

市販されているキーキャップのセットは、2千円くらいから1万円を超えるようなものまで、
まさしくピンからキリまであるので選ぶのは大変というかすごく迷います!

キーキャップの高さや形、LEDの光が透けるもの、文字の刻印がないものなど、
はたまた複数種類のキーキャップを組み合わせたり・・・
本当にこだわりだしたらキリがありません!

デザイン的に他人とかぶることはほぼないと思うので、
自作キーボードを他人に見せてドヤるかどうかはさておき、
自分だけのキーボードという気持ちがこみ上げてくるのでタイピングが楽しくなりますよ!

上級者向け:自分で設計できる

自作キーボードを自分で設計することも可能です。
キーやマイコンと言った部品の物理的な位置や、
キーボードの仕様をイチから設計することもできるようです。

基盤やケースの設計をCADソフトでおこない、そのデータを業者に送って製造してもらう、
という過程をとれば完全オリジナルのキーボードが作れるようです。

僕もどこかのタイミングで設計にチャレンジしてみたいなと考えていますが、
電気の知識に乏しいので二の足を踏んでいるところ・・・

ともかく深く踏み入ればそのような道もあるようです。

おわりに

自作キーボードの特徴について、ざっくりと紹介しました。
僕自身が自作キーボードを組み始めて1年ちょっとくらいなので知らないこともいっぱいありますが、
キットを買って組んでみるだけでも
そのカスタマイズ性やデザイン面で多分に恩恵を受けることができると考えています。

それでは次は、自作キーボードを組むのにどんな道具が必要か、
僕が買ったもののを交えながらお伝えできればと思います。

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